第1章 幼馴染み。
「え、ちょ、焦凍くんとは最近話してませんし!」
「確かに……焦凍の初恋の咲だったら、届けられるかもしれない。」
「初恋の相手だったら良いかもしれないわね。」
え、話聞いてた??スルーした挙句の果てに爆弾発言をした轟さん。あと、初恋とか勘違いでしょう。
中学の時に焦凍くんの事が好きで告白したが、見事に失恋した。だから、幼かった私は会いづらくなり高校に入ったと同時に避けるようになる。
だからこそ、避けていきたいところだったが……。でも、そんなこと言えない。
「あ、でも、咲が嫌だったら言ってくれ違う方法を考えよう。」
「そうね、咲の気持ちが大切よね。」
これ断ると凄く罪悪感を感じると思う。人からはお人好しを言われて別にそうでもないと思っていたが。ここで分かった私は"お人好し"ではなく"断れない性格"だ。
「焦凍くんが私のことを覚えてないかもしれませんし…、それでも良かったら。」
「本当か!?咲!!」
言ってしまったら後の祭り、あれよあれよと焦凍くんの家の住所を教えてもらい轟さんとは連絡先を交換した。
自分の買った豆大福と焦凍さんに上げる分と豆大福を袋2つを手にある。
「なんだすまないね、咲ちゃん。前々から轟さんの話を聞いてくる限りでは、声をかけても軽く流されるらしくて……。まぁ、聞くには昔、轟さんがやった事がいけないけれど。」
お婆ちゃんはギロリと轟さんを睨み、ギクッと轟さんは肩が上がった。どんなコントですか。
「それでも、せめて沢山会話できるように話し合っていたんだけど中々、うまくいかなくてね……。」
「じゃあ、焦凍くんには『感想は、お父さんに伝えてね。』と言っておきます。」
そう言うと轟さんは嬉しそうな表情になった。もう、今日だけだから。
そう思いながら、和菓子屋から出ていき、教えてもらった住所まで行った。