第3章 甘いカステラ
「やっぱり、ショートは女受けいいな。」
とチャージズマが言っているだけども、嫌々幼馴染みが来るってなるとそりゃびっくりするだろう。
なんでこんな時に限って生なんて頼んでしまったのだろうか、カクテル頼んでおけばよかった……て会う前提じゃないから良いか。
「ショートが来るんですねー、びっくりです。」
「もしよかったら、会わせようか?ファンぽさそうだし。」
「嫌、平気ですよ。ファンでもありますけれど私以外とチャージズマさんのファンでもありますよ。」
それは本当の話だ。あまりヒーローには興味がなかったが、テレビに映ったアホ顔が印象的に残っていてファンになった。すると凄く嬉しそうに握手してくれた。ファン対応、最高。……あの人と違って。チラッとその横を見ると舌を出されて馬鹿にしたような表情をされた。
「じゃあ、俺もう行くわ!また来るね。」
「一生来んな、アホ面。あと、半分野郎もな!」
チャージズマさんが立ち上がり、個室から出ようとした瞬間、「お。」と聞いたことあるような声が聞こえてきて爆豪さんと顔を見合わせる。爆豪さんが凄く嫌そうな表情をしていて、苦手なんだな。ということが分かった。
しかしながら、私はこの置かれているビールをどうにかしないといけないと声が聞こえた瞬間察知した。
「ショートじゃん!今来たのかよ!」
「わりぃ、遅くなった。……何やってるんだ。」
「今、この個室に爆豪とそのお友達がいたから話していただけだぜ!」
私はゆっくりとビールを爆豪さんの方へ寄せると2度目の足を踏まれて「痛っ!」と声を上げてしまった。
しかも、なんだか凄く楽しそうにしている。きっと『こいつの慌てている姿をこの目に見て、今後イジり倒したい。』なんて思っているんだろな。
チャージズマが少し退いたあと、こちらの様子は少しまる見えで焦凍くんはチラッとこちらを覗いてきた。そんな視線と目が合う。そして、目を見開きそのままこちら側の方へ体を移動させる。
「咲!?」
み、見つかっちゃった。そんな姿を見て、爆豪さんの「知ってるんのかよ。」という声が聞こえてきた。