第8章 曖昧な関係
"ガチャン"
そんな扉が開く音と一緒に
今にも触れそうなほど
近くにあったはずの信ちゃんの顔が
目の前から消えて
支えを失った体は
体制を崩してドスンと派手な音を立てて
床に転がり落ちる…涙
「痛いよ…信ちゃん…!」
派手にぶつけたおでこをさすりながら
そう言ってソファーに這い上がると
そこには
「誰やねん…信ちゃんて…?」
なんて不思議そうな顔で私を見下ろす
すばるくんがいる…
"やってしまった…汗"
なんて慌てて
ジュース…のようなお酒…?
を飲んだせいで全く回らない頭を
必死にフル回転させて
「あ…あの…あれです…夢?
ちょっとうたた寝をしてしまって…笑」
しどろもどろになりながら
ヘラヘラと笑う私に
すばるくんは手を伸ばして
おでこに触れたかと思うと
「おでこめっちゃ腫れてるやんか…
それにお前顔もなんか…?」
なんて私のほっぺたを
手のひらで包みこむ…
そんなことをされたら…
ただでさえ
お酒のせいでドクンドクンと
速い鼓動が
さらにバクンバクンと
派手に暴れ回って
私の心臓は止まりそうになる…
苦しくて苦しくてたまらなくて
少しでもこの苦しさを
解ってほしくて
私のほっぺたに触れる
すばるくんの手に触れて
「大好きです…
ほんとにほんとに
すごーく大好きなんですよ…?」
そう言葉を吐き出した瞬間
私の意識は
深く暗い闇に落ちていく…
でも…
眠りに落ちるまでの
ほんの一瞬私は…
私と同じぐらい赤く染まった
すばるくんの顔を
見たような気がしたんだ……