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月の囁き

第6章 幸せの賞味期限


他の誰よりも



早く大人になりたいのに

どんなにあがいても

私は私のまんまで…



ちっとも成長してくれない…



コーヒーが飲めない大人だっている

そう解ってるけど



すばるくんの見てるもの

生きてる世界を

少しでも共感したくて



真っ黒な液体を口にした結果が

この様だ(涙)




「すいませんでした…」



そう言って


握りしめていたマグカップを

すばるくんに返すと



「お前にはまだ早いわ(笑)」



なんて笑いながら立ち上がり

キッチンに向かい歩き出す…




結局私は

自分がまだまたま子供だってことを

すばるくんに見せつけた

だけじゃないか…(涙)



なんて半端なく落ち込みまくりな

私の前にカタンと小さな音を立て

さっきまで握りしめていたマグカップと

コップに入れられた

牛乳が差し出されて



「私…コーヒー飲めませんよ…?」


そう言って顔を上げると



「解ってるわ…そんなん(笑)

でもこうしたら飲めるやろ…?」



そう言ってすばるくんは


マグカップの中に牛乳を注いで

スティックシュガーを一袋

マグカップの中にさらさらと落としていく…




目の前に差し出された

マグカップに恐る恐る手を伸ばし



ゆっくりと口につけると

さっきまでは真っ黒で苦々しかったはずの

コーヒーは

甘くて優しい味に変わっていて




「おいしい……!!!」




そう驚いて叫んだ私に


すばるくんは手を伸ばし

くしゃくしゃと

私の寝癖だらけの髪をなでながら




すごく優しく

すごく嬉しそうに



笑いかけてくれたんだ……
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