第6章 幸せの賞味期限
人と人との関係は
猫から人間に昇格したとかろで
急に劇的に変わったりはしない…
その証拠に
現実はいつだって残酷で
朝の温かいベッドの中は
いつものように
ひとりぼっちで
リビングから漂う
香ばしいコーヒーの匂いが
すばるくんの居場所を教えてくれる…
「おはようございます…」
ボサボサの頭を手ぐしでなんとか
押さえ込みながらそう挨拶をすると
「ん……」
と少し気だるそうな短い返事が
いつも同じように返ってくる…
すばるくんが毎朝飲んでいる
真っ黒な液体は
お子さまな私には
全然美味しいそうには
思えなくて
いつも私は
真っ黒な液体を飲むすばるくんの隣で
真っ白な液体(牛乳)を飲むんだ…
でも今日は
なんだか少し背伸びをしてみたくて
「私もそれ飲みます!!」
なんて勢いだけで
驚いた顔をするすばるくんの手から
マグカップを奪い
湯気を立てる
真っ黒な液体を喉に流し込むと
見た目通りそれは
ひどく苦くて
人間の飲む飲み物とは思えない代物で
「うぇ…(汗)」
一口で味覚のすべてを持っていかれて
涙が溢れそうになった…(涙)