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月の囁き

第6章 幸せの賞味期限


「お前…その目…どうしたん…?」


夜眠りにつく前


一緒のベッドに入る私の顔を

すばるくんは不思議そうに見つめる…



「あ…これですか…?

昼間ちょっと映画を見て

それで…」




昼間信ちゃんの胸で

思い切り泣いた私の目は

残念なほどに腫れて不細工で



でもそんなこと言えるはずもなくて

腫れた目をかくしながら

ついた私の嘘にすばるくんは






何も言わずに

私の体を引き寄せ

腕の中に閉じ込める…



毎晩この腕の中にいる時私は

すごく幸せで

すごく満たされて


このまま時が止まればいい…



そう思うんだ…





たとえすばるくんにとって私が

人間ですらなく

猫でしかなくても




たとえこのまま

生き返れなくても





それでもこうして

側にいられればいいや…







そう思ってた







でも私は……







「すばるくん……」






「ん……?」





「一度だけでいいから…私を…」





「……」







気付いてしまったんだ


生き返るためじゃなく




ただ純粋に私を


今私の目の前にいるすばるくんに…




「…猫じゃなく…

人間の女として…見てくれませんか…?」



見て欲しいんだって…
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