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月の囁き

第4章 猫になりたい


すばるくんの体温に…

すばるくんの匂いに…

すばるくんの息づかいに…


苦しいぐらいに

どくんどくんと胸が高鳴る…



恥ずかしくて

まともに息さえ出来なくて



それでも必死に

すばるくんの目を見つめていると




「お…もたいわ(汗)!!」



そんな声と一緒に

私の体はソファーに押し戻され



その一瞬の隙に

すばるくんはソファーから立ち上がり



「疲れたからもう寝るわ…」



そんな素っ気ない言葉を残し

そそくさと自分の部屋に向かい

歩き出してしまう…



そんなすばるくんの背中に




「少しはドキドキしてくれました…?」



そう問いかけて…




「猫は猫らしくしとけ…あほ…」




そう小さくぽつりと呟いて

部屋の扉がパタンと閉まる瞬間



「おやすみなさい…!」



そう慌てて言うと



「ん…」



と短い返事が扉の向こうから

返ってくる…





結局その日…


信ちゃんから教わった作戦が

うまくいったのかいかなかったのか



結果は解らなかったのだけれど…




拾われた猫は猫なりに

精一杯の努力をしているわけで




"おはよう"と"おやすみなさい"が

言える関係の今が



なんだかすごく幸せだから




すばるくんにもっともっと

心を開いてもらうために



明日も精一杯猫を頑張ろう…!



そう心に誓って

私はその日眠りについたんだ…
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