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月の囁き

第4章 猫になりたい


「で…今度は何の用…?」


文句を言い終わった後

私の隣に腰を下ろし

のんびりとくつろぎ始めた信ちゃんに

そう言って首をかしげると



「別に用事はないぞ…?」



なんて鼻をほじりながら

にんまりと笑う…



そんなふざけきった

信ちゃんの態度と言葉に



「はぁ…?

何で用事もないのに出てくるの?

信ちゃんの暇潰しに付き合うほど

私暇じゃないんですけど?」




そうイライラしながら

文句を言うと…



「はいはい…

すぐそうやって文句言う…(笑)

そんならあれや…

1つだけアドバイスしたるわ…」



そう言って信ちゃんは



突然真面目な顔をして

私の目の前に顔を近付けたかと思うと



何も言わずに

まっすぐに私の顔を見つめる…




あまりに近すぎる距離感と

まっすぐな視線に


無駄にドキドキしながら




「あ…アドバイスって何…?」


なんて平静を装って聞くと…



「これがアドバイスや(笑)」



そう言って信ちゃんは笑って




「こうやって急に顔を近付けて

見つめられたら好きじゃなくても

ドキドキするもんやろ(笑)?」




なんて得意のどや顔をする…




信ちゃんの思惑通りに

まんまとドキドキさせられた自分が

情けなくて



「なんか信ちゃんむかつく…」


そうぽつりと呟くと…




「先輩って呼んでもええぞ(笑)?」



なんて信ちゃんはどや顔増し増しで



私の髪を楽しそうにぐしゃぐしゃと

かき回した…
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