第3章 拾い猫
お腹がいっぱいになって
満足気にお腹をさすりながら
今度は解りやすくあくびをしだした猫に
「お前…荷物とか
何も持ってないみたいやけど
着替えとかどうすんの…?」
そう聞いてみたら
「あ…」
なんて今まで
気付いてさえなかったのか
間の抜けた声を出す…(笑)
そんな間抜けな猫を
「Tシャツとスエットぐらいなら
貸したるけど…下着も俺の貸す…?」
なんてちょっと
面白半分にからかってみたら
"ぼっ"と音が聞こえそうなほど一気に
顔を真っ赤にしたかと思うと
「いや…あ…下着とかは…自分で買う…
ってあ…私お金…もない…」
なんてしょんぼりと肩を落とす…(笑)
そんな垂れ下がった猫の頭に
手を伸ばしふわふわと撫でながら
「冗談に決まってるやろ(笑)!
俺明日休みやから買い物でも行くか…
拾ったからには最低限面倒はみんとな(笑)?」
そう言って笑うと
「ありがとう…ございます…」
なんて真っ赤に染まった顔で
恥ずかしそうに笑う…
からかいがいのある猫が
おもしろくてついでにもう1つ
「俺1人暮らしやし布団もないけど…
寝るのも俺と一緒でええの?」
そう冗談のつもりで言うてみたのに
「それはむしろ喜んで(笑)」
なんて予想外に
嬉しそうに俺の手を握るから
繋いだ手から伝わる猫の熱で
なぜか胸がどくんと小さく
騒いだ…