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月の囁き

第2章 出逢いの日


あぁ…

閉じた目を開くのが怖い…(涙)



今すばるくんは


どんな顔をして

何を考えているんだろうな…?



そんなことを考えて

さらにぎゅっときつく目を閉じた瞬間



「お前…名前は…?」



そんなすばるくんの声がして

驚いてぱっと顔を上げると



不思議そうに

でもさっきよりは少し

柔らかい表情で私を見つめる

すばるくんと目があう…



「名前は…」



"奈々"



そう言おうとして

言葉が喉の途中で引っかかる…




今の私は…


私が当たり前に生きてきた

17歳の女子高生ではなくて



今の私は私であって

私じゃなくて…



じゃあ今の私はいったい

誰なんだろう…?




そんなぐるぐると回る

答えのない疑問に



黙ったままうつむくと…



"家は…?"

"親は…?"

"年齢は…?"

"何で俺やねん…?"




次々と質問が投げ掛けられ


その全部にぶんぶんと首を横に

振ることしか出来ない私に




すばるくんは

めんどくさそうに

小さくため息を吐き出した…
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