第13章 甘党のあさごはん
褒められてご機嫌な彼は私を先に食事の席へ座らせると、冷蔵庫から牛乳と昨晩の残りのサラダを出して、ホットケーキと共に食卓へ並べた。彼も私と向かい合って席に着き、ふたりで揃って「いただきます」とお行儀よく手を合わせる。
彼お手製のホットケーキには、申し訳程度に少量のバターが乗っかり、白い皿に金色の池を作るほどたっぷりの蜂蜜が注がれていた。全て私好みである。つぷり、甘味を十分に吸い込んだホットケーキをナイフとフォークで掬い上げて、まずはひとくち。
「んーっ♡ おいひい」
「幸せそうやなあ、菜花ちゃんはほんまに甘いもん好きやねえ」
「んふふ、大好きです、しやわせ……」
それはそれはもう、彼のように甘くて、とても美味しかった。
甘い朝食をしっかり完食して、きちんと歯磨きも化粧も終えた頃には、出勤時間がギリギリに迫っていた。わわ、ちょっとのんびりし過ぎちゃったな。
ベランダで洗濯物を干していた彼に「そろそろ行って来るね」と声をかければ、すぐ作業を中断して「お見送りするわー」と玄関先まで着いてきてくれた。
「携帯持った?」
「はい、大丈夫」
「お財布は?」
「持ってますよ」
「家の鍵は? あと、ハンカチ」
「ママルトさん、心配し過ぎです」
「えへへ。いつもは菜花ちゃんが俺の持ち物確認してくれるからさ、逆にやってみたかってん」
彼はついでに私の髪型と服装チェックまでしてくれて「うん、今日も俺のお嫁さんは可愛いです!」と満足気に腕を組んでウンウン頷いた。もうルトくんったら、嬉しくてにやけてしまいます。