第10章 近くて遠い、あと一歩
「じゃ、一旦録画止めて休憩しよっか」
「賛成〜。んあぁ、ずっと前屈みの体制だったから腰いてえ〜」
「ガッチさん発言に年齢が出てるよ」
「はは、もう歳だから仕方ないのう」
滲み出るオッサン臭さを一切隠さない、我らの最年長・ガッチマンおじさんが腰をさすっている姿をけらけら笑いながら、俺はゲームをしっかりセーブして言葉通り録画も止める。
本日はガッチマン、牛沢、キヨ、この三人を俺の自宅に招いて、それぞれ持ち寄ったゲームによるコラボ実況の録画真っ最中であった。
朝早くから集まって録画を始め、気が付けばもう夕飯時の時間になっている。今日も深夜、いや朝まで寝ずに夜を明かすことを覚悟しながら、休憩がてら外へ飯でも食べに行こうかと提案する。何を食べようかという話になり、キヨくんは真っ先に「肉!」と大声で主張したが、即却下した。つい昨日4人で焼肉食いに行ったばっかりだろ。
「じゃあハナさんの手料理!」
「今日はうちに来てへんやろが」
こいつ、もはや俺の彼女のご飯を食べたいが為だけに、うちへ来ることもあるからなあ。ま、旦那(予定)として悪い気はせえへんけど。
しかし残念ながら、今日はお花ちゃん不在です。最近ちょっと忙しいみたいやから。もう二週間、いや三週間ぐらい顔合わせてへん、なあ……。
「……俺だってハナちゃんのご飯食べたいわ」
ぼそ、とうっかり吐き出してしまった言葉を、当然ながら彼らが聞き逃す筈はなくて。三人の顔が一瞬でニヤニヤといやらしい顔に変わる。