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【実況者】蟹の好きな花【rtrt夢】

第7章 やきもちの本音


「ね、ルトくんのこと、ぎゅーってしたいな」

 だから、手を離してください。私がそう言うと、彼は力一杯握り締めていた手を案外素直に離して、私の腕を自由にしてくれた。
 ほっと安堵して「ありがとう」を言えば、弱々しい「ごめんなさい」が返ってきたので、背中と腕の痛みはもう許してあげよう。
 私は両腕を伸ばして彼の首の後ろに絡め、自分の胸の中へ彼を包み込むように抱き締めた。

「大丈夫だよ、何にもこわいことなんてないよ。私にとっては昔から、あなたがいちばん大切な存在です。何年も前からずっと、あなたのことばっかり見ているのに。もう、ルトくんはほんまに泣き虫で心配性ですねえ、可愛いね、ふふ」
「う、うっさいわ! なんっ、泣き虫ちゃうし!! そんなこと言って、どうせ何も変わらへんのでしょ!」
「うん、ごめんね。確かにキヨくんたちも弟みたいで可愛いから、今後もたくさんお節介しちゃうけど、でも、その気持ちはルトくんへの気持ちとは違うよ。ルトくんはね、私にとって誰よりもいちばんかわいい、だいすきなひとですよ。きっとね、平凡な言葉で言うなら、愛しているんだと思います」

 彼は未だ聞き慣れない言葉に照れてしまったのか、私の胸に額まで埋めて顔を隠してしまったけど、真っ赤な耳と、酒のせいではないほど火照った身体が熱くて、隠しきれていない。更に安心したら力も抜けてしまったらしい。私の身体に酔った彼の全体重がズシリと襲いかかる。ウッ。

「ううう〜、俺の彼女、男前過ぎかよぉ……俺も好きです、だいすき、愛してるうぅ……」
「わあい、よかった。じゃあ、はやくお薬飲んで顔を洗ってお着替えして、ベッドへ行ってねんねしよっか。はやく、はやくね。でないと、私……そ、そろそろ押し潰れちゃう、かも……」
「へ? あ、あああッ、ごめん!!」

 彼の本音を少し聞けたことは嬉しいけれど、お酒の力はとっても怖い、それを思い知る深い夜でした。


 
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