第2章 再開
ドキドキ胸が高鳴るのを感じていた。周りから見ればおしゃれな女優程度にしか思われていないのだが、本人にとっては初舞台のようなものだ。
駅近くのホテル内にあるレストランらしい。駅まではタクシーで向かい、マリエは駅に到着したところでレイラからのメールを確認していた。あまり立ち寄ったことのない駅なので、メールには親切に道順が載せられていた。
「あ、あのっ!もしかして、マリエさん?」
声のかけられた方を見ると、制服姿の女の子がマリエのことをまじまじと目に焼き付けるように見ていた。それに気づいたマリエはニコリと笑顔を見せると、女子学生は顔を赤く染めてあの女優のマリエに会えたことを実感しているようだ。
「こんにちは、学校?」
「え、あ、はい!でも、サボりとかじゃなくって、定時制だからっ!てゆーか!!アタシっマリエと喋ってる!?」
「落ち着いて〜それと、私、急いでるからごめんなさいね?」
「そうですよねっ、あ!!前放送してたドラマ見ました!めっちゃ制服似合ってました!あとあと、私服?可愛い系なんですね!意外だけどめっちゃそれも似合ってて憧れますっ!頑張ってください!」
気を使ってくれたのかマリエの返事も聞かずに足早に立ち去ってしまった。このように度々ファンに声をかけてもらったり、サインを書いたり、写真を撮ったりと増えてくるようになった。そのことをマリエは純粋に嬉しく思い、期待に応えていきたいとも思っている。シンからもらった自信と合わせて、彼女からももらった褒め言葉。
(なんだか上手く話せそうかな)
レイラとはもう会っている。ナオキはそんなに怒ってないだろうし、レンとはそこまで深い付き合いはなかった。残りのメンバーの最後に会った時の顔を思い出すと、ぶるるっと背筋が震えてしまう。
(でも、そんなに気構えないで、いつもどおりに…)