第8章 死んでもボク!【十四松】
お風呂はポコポコと音をたてながら煮えたぎっている。
これは熱くない熱くない熱くない……
「あ、あああっ!あっつううういっ!!!!」
暗示してみたけど駄目だった。むちゃくちゃ熱い。
死んじゃうからっ!死んじゃうっ!
あっ、ボク死んでたんだった……
「楽しいー?」
「ボェ!?」
声をかけられ後ろを振り向くと河原で出会った桜ちゃんだった。
大釜の縁でニコニコと笑ってる。
「いいお湯ー?」
「い!?いいー?
熱いよっ!激あつっ!てか、桜ちゃん。
熱くないの!?」
釜の縁も絶対熱いと思うんだけど!
「大丈夫だよ」
しーっと人差し指を自分の唇に当てる桜ちゃん。
小さな子なのに仕草が可愛くて、ドキリとボクの心臓が鳴った。
不思議な子だなぁ~。
桜ちゃんが、そっと手を降ろし大釜のお湯に触れるとポコポコと鳴っていた大釜のお湯が温度が下がり、普段入るようなお風呂の温度になった。
「あ、ありがとう。
でも、これじゃ罰にならないね」
「ふふっ!そうだね!
十四松は優しいからいいんだよ。
ねぇ、どうしてみんなと一緒に地獄に落ちたの?」
「みんなって……
兄さんとかトッティーのこと?」
「うんうん」
目をキラキラさせてボクの答えを待つ桜ちゃん。
「あのね、ボク達は六つ子だから、いつも一緒なんだ」
そりゃ大人になってからは一緒に過ごすことも減ったし、好きな事も違う。
でも最後には一緒にいるのが僕たちなんだ。
「それっていいな。兄弟っていいね」
「うん!」
ニコニコとお互い笑顔になった。
エヘヘ、なんだか嬉しくなってきた。
「そこ!何してるんだ!」
ウロウロと監視していた赤鬼に見つかり、僕は怒鳴られる。
「あーいやっ何でもナイデス!」
「黙って入ってろ!」
「は、はーい……」
赤鬼のほうへ顔を向け返事をし、クルリと振り返ったときにはもう桜ちゃんはいなかった。
えー?