第7章 冥土カフェへようこそ【トド松】
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「桜ちゃ〜ん、遊びに来たよ!」
窓から店内に客がいないことを確認すると、ボクは素早くカフェに入った。
「お帰りなさいませー! ご主人様ぁ」
桜ちゃんが駆けつける。
ボクはあの日以来、鬼の目を盗んでは桜ちゃんの冥土カフェに通っていた。鬼たちも地獄での勤務時間があるらしく、客のいない時間帯は決まっている。ボクはその時間を狙って顔を出していた。
「ただいま、桜ちゃんっ」
行くたびに笑顔でお帰りなさいと迎えてくれる可愛いメイド。本当にここがボクの家なんじゃないかと思えてくる。
何度も会っているうちに桜ちゃんの口調も気にならなくなってきた。これはこれで彼女の個性な気がする。
「ご主人様ぁ、お席にご案内しますねっ」
桜ちゃんがボクの腕にしがみつく。メイド服越しの大きな胸がぽよんと腕に当たり、ボクの心臓は大きく音を立てた。
「だめだよ、桜ちゃん。しがみついたら胸が当たるよ?」
「え〜? ご主人様なら大丈夫ですぅ!」
「大丈夫じゃないよ。ボクだって男なんだよ?」
「でも、会えて嬉しいから、くっつきたいですぅ」
甘えたように上目遣いで訴えてくる桜ちゃん。ますます擦り付けられるおっぱい。
「もう〜しょうがないなぁ〜」
口の端が緩む。ボクはニヤニヤしながら桜ちゃんと席に移動した。