第6章 クズキングは死んでもクズ【イヤミ】
イヤミの地獄での刑は永遠と続く。
桜の労働時間は8時間なので他の時間は別の鬼が担当している。
「交代時間です。お疲れ様です」
「ああ、桜さん、お疲れ様。こいつもだいぶ大人しくなってきたね?今日は一言も喋らなかったよ」
「へぇ……?」
桜は毎日のようにイヤミに会っているがイヤミが喋らなかった日はほぼない。黙ってしまったのは、目の不自由な子を助けたという話を出したときだけ。
「そろそろ携帯用じゃなくて、連れて行って刑罰させろって言われたよ。一人の死者に鬼件費使いすぎだってさ」
大きく欠伸をしながら、交代の鬼は帰っていった。
「……イヤミさん、もう諦めたんですか?」
現世に帰る。
イヤミは何を言ってもその言葉をかならず最後に言っていた。
「………………………」
「無視ですか?それとも本当に諦めたんですか?」
「………………………」
「そういえば例の件なんですが、上司に掛け合ったところ刑期3年減らしてもらえました。良かったですね。あと51京6千兆年ですよ?」
「………………………」
いい感じでボケたのに……まぁ掛け合ったのは本当だけど。そう桜は思ったが反応のないイヤミに話しかけてもつまらない。
桜は牢屋に入り、移動用の鎖をイヤミにつけようと手を伸ばした。
……ガッチャンッ!
自分の足から音がして、桜は足元を見る。
イヤミについていた足枷がなぜか自分の足に取り付けられていた。