第1章 あの世であなたを脱がせたい【おそ松】
死者を喜ばせる必要があるのかしら? でも、スムーズに衣服を奪えるなら、やる価値はあるかも。
おそ松さんは、さらに進める。
「んじゃ、ちょっと襟を開こうか」
私はおそ松さんの襟を左右に引っ張った。
「開きました」
おそ松さんは頷く。
「そしたら、今度は俺の胸を指でくりくりしながら、『ちゃんと脱げたら、ご褒美に気持ちいいこといっぱいしてあ・げ・る♡』 はい、どうぞ!」
え……。
私は襟から手を離した。
「そんなこと言ったら、気持ちいいことをしなきゃいけなくなるじゃないですか! 嫌ですよ!」
おそ松さんは、首を振りながらはぁ〜っと息を吐いた。
「分かってないなあ。サービスすればお客はすんなり服を奪わせてくれるんだって。結局は自分に返ってくるからさ」
「…………」
「プロなら、それぐらいの覚悟は必要だろ!」
「それはそうかもしれないけど……」
何か騙されているような気もする……。
「な? 分かっただろ? んじゃ、やってみて!」
「はい……」
納得いかないものの私は言われた通りおそ松さんの襟をもう一度開いた。彼の厚い胸板をくりくりと指で弄る。
「ちゃんと脱げたら、ご褒美に気持ちいいこといっぱいしてあ・げ・る♡」
途端におそ松さんの鼻息が荒くなった。
「脱ぎます! いくらでも脱ぎます! だから、冥途の土産に気持ちいいことしてーー!」
おそ松さんがガバッと覆い被さってくる。
「きゃっ!?」
突然だったせいで、バランスを崩した私はあっと言う間に河原に倒れた。