第3章 地獄のヌードデッサン【チョロ松】
チョロ松はポーズを取りながら、バレないようにこっそり教室の中を見回した。
(うわ〜マジ? 鬼だけど、みんな可愛い……。現世でも女の子の前で裸になることなんてなかったのに!)
緊張でゴクリと喉を鳴らす。
これから1時間もこの格好で女子たちからの視線に耐えなければいけない。万が一にも、タッティなんてしてしまえば大変なことになる。馬鹿にされ、軽蔑され、変態扱いだ。絶対にタッティするわけにはいかない。
チョロ松は息を吐き、教室の壁を見つめた。
(何もない、何も見ない……うん、これでやり過ごそう。思い込むんだ、チョロ松! ここには女子なんていない……女子なんていない……女子なんていない……)
その時、女生徒たちがコソコソと話し出した。
「ねえ、見て、あれ」
「ぷっ! やだ! どこ見てんのよ!」
「だって、ほらほら! 見てみなよ」
(なんだ? なんの話だ?)
意識していないつもりでも、可愛い声が耳に入ってくる。気になって仕方がない。
「うわ、ほんとだぁ。お粗末すぎなーい?」
「ちっさーい」
女生徒たちの馬鹿にしたような声。たまらずチョロ松は声の聞こえたほうに目を向けた。
女子たちが自分の股間を指差して笑っている。
(くうっ! チンコか! チンコを笑われているのか! いや、手で隠してるから見えるはずはない……。ハッ! もしかして、逆に手ですっぽり隠せちゃうから笑われているのか!?)
まさしく公開処刑。顔から火が出そうだ。
耳まで真っ赤になりながら、チョロ松はふと目の前の女生徒に気付いた。みんなと一緒にくすくすと楽しそうに笑っている女の子。ひときわ目立つ可愛らしい笑顔。チョロ松は彼女に釘付けになった。