第3章 地獄のヌードデッサン【チョロ松】
「はい、皆さん、注目〜! それでは、今日もヌードデッサンを始めまーす!」
鬼の教師の声に教室は静まり返った。
「せんせ〜! 今日もモデルはF6ですかー?」
生徒の一人が手を挙げる。
「今日は違います。新しく入った男性の死者です」
「えー!!」
生徒たちから一斉にブーイングが上がった。
ここは、「ヌードデッサン地獄」
死者に辱めを受けさせる場所。
美術教室の中でキャンバスを前に座っているのは、鬼の女子高校生たちだ。
「コラッ、文句を言わないっ! では、今日のヌードモデルを紹介します。昨日、地獄に落ちてきた松野チョロ松さんです!」
ゆっくりとドアが開き、チョロ松がオドオドと入ってきた。全裸で股間を手で隠している。
「うわっ、全然カッコよくないのきたw」
「てか、だっさ! 筋肉ないじゃん」
「なんだ、今日はハズレかぁ」
女子高校生たちがヒソヒソと話し始めた。歓迎されていないのは明らかだ。昨日まではF6がモデルだったのだから、当然といえば当然の反応である。
(何だよこれ……女子しかいないじゃん……。この中で1時間もヌードモデル!? ムリムリムリムリ! 文字通り、地獄!)
チョロ松は真っ赤になって俯いた。
「はい、じゃあ、チョロ松さん、真ん中の机に上がってポーズを取ってください」
容赦なく教師が机を指差す。
「は、はい……」
チョロ松はノロノロと机に乗って立ち上がると、左手で股間を隠しながら、右手を頭の後ろに当てた。
「ぷっ……何あのカッコ。ヤバイ……うける」
「マジ頭悪そうww」
くすくすと笑い声が起こる。
「はいはい、静かに! では、デッサンを始めてくださーい!」
教師の一声で生徒たちはみな手を動かし始めた。
鉛筆が紙の上を滑る音が響く。