第21章 赤&紫
って。
死角になってて見えねえな、ここじゃ。あ。わざとか?両腕も何か、顔覆うようにしてるけど、口元全く見えないよ、それじゃ。え?そんなシークレットキッス?王子と姫のキスなんて一番の見せ場、めっちゃオープンじゃん、どの物語でも!なのにあえて隠しちゃうわけ??
相「ちょっ…え?なに、よく見えないんだけどっ」
大「してる?あれ、してる?もうしちゃってるっ?」
あ~…。そっか。あれだ。まるっと見えちゃうより、チラリズムのが萌えるっていう。その心理を利用した作戦…いや、演出かな。これは。松本王子による、ドS演出だな。だってまんまとハマッてすげぇヤキモキしてるし、観客が。…俺含めて(笑)。
王子と姫の頭が重なってから…しばらく。姫の体が、時折ビクついてると思ったら…
ついに!
「ぷはぁっ!」
姫、生還~。
てかさ、なんか、王子もだけど、姫の息絶え絶えな感じとかが…生々しいんだけど。ちょっと、もしかしてすんごいキスしてたんじゃねえかって勝手に想像しちゃうくらい。そんな息切らすほどスゴかったの?って。
だってめっちゃ妖艶じゃん、うちの王子!俺は見たよ。離れたあと、ゆっくり舌なめずりしてた、あのエロ王子を!俺は見た!
…ホントにしてた、よね?だって微妙に動いてたのよ、王子の頭が。なんか…ね。見えないのにやたらリアルっていうか。ねえ?どんだけのことやってんだろって。それも演出なのかな。やっぱテクニシャンだよなぁ、こういうとこ。見せ方?経験値が違うんだよ、我々庶民とは。