第14章 黄×紫
しゃーない。んじゃ、こっちもエンジンかけますか。舵は~…そうだな。アッチ路線にきってみよっかな?
さてさて。どう転ぶか…。
俺は、掴まれた手を、そっと掴んで、ほどいた。
二「…ダメだよ、潤。いくら思い込もうとしたって。俺らは…俺らは所詮、男同士なんだから」
松「!…関係ねえよ!俺は…俺はお前の事が――」
二「ダメなんだよ」
松「っ」
今度はめいっぱい、俺が腕を回した。背中を引き寄せ、すっかり男臭くなってしまったその胸板に、ゆっくり、顔を埋めていく。
松「…」
二「…」
松「カズ…」
二「…」
松「…」
スゥー…
フゥ…
二「…変わんないねぇ」
松「…なに、が?」
二「潤の、におい」
松「…」
二「…」
スゥ…