第32章 epilogue
俺らには、秘密がある。
俺らをつなぐ目に見える糸は、確かに存在してる。
絡みつく鎖のように、俺らを縛るもの。
でも
俺らはすでにその鎖をも取り込んで、昇華させてる。
他でもない、俺ら自身の手で。
だから、違うんだ。
今の俺らを繋いでるのは
後ろめたい過去でも抹消したい記憶や映像でもない。
同じ時間の中で、培ってきたものたちだ。
無理に伸ばさずとも、自然と互いに適度な距離で触れ合う、互いの手
遠くとも気持ち悪いレベルで届く、目と目の会話
そして
目に見えない方の、糸
そう
“絆”
ってやつなんだ。
…まぁ
そういうのは誰も口にはしないけどね。恥ずかしいから。
俺らが繋がってできる五芒星。
一人が欠けても成り立たない、一つだけの星。
きっと
まだまだ、輝くよ。これからも。
俺らが、俺らで、ある限り。
ね。
ああ、そうそう。知ってた?
糸が、五本集まると…
“絆”
ね。
偶然なのかなぁ?これ。
…必然?
2018/1/8