第1章 1
私が何を言っても聞かず、快斗はお金を受け取らなかった。私は仕方なく、諦めて快斗の隣を歩く。すると
ぎゅっ
快斗はおもむろに私の手を繋いだ。
「……っ……」
ただ何かを言う訳ではなく黙って私の手を引く姿に思わずキュンとしてしまった。
あんなことまでした関係なのに、手を繋ぐだけでドキドキする。私はどのくらい快斗のことが好きなんだろう。思わずぎゅっと私が快斗の手を握り返すと快斗は驚いたように私を見た。
「……///」
恥ずかしい……
「お前………」
快斗は繋いでいた手を離し私の肩を引き寄せると、口を耳元に寄せた。
「あんま可愛いことするとここでしたくなるんだけど」
「……なっ………///」
思わず離れようとするも、快斗は再び私の手を握り歩き出す。
顔から火が出そうだ……
その日快斗は私を家まで送ってくれた。私は部屋に入るとベッドにダイブする。
「あー、どうしよう……こんなに好きになるなんて……」
誰かをこんなに思ったことなんてない。初めての気持ちに戸惑いながらも今日の出来事を思い出して顔がにやけた。
「というか…」
私たちは付き合っているのだろうか、快斗も私を好きだと言ってくれているけれど、お互い付き合うということは明確に言っていない。
もしかして…
「セフレ…!?」
そんなことを思っていると、ふと私の携帯が鳴った。メールだ。
「……っ……」
差出人はノアールだ。
『こんばんは、お姫様。近々君に会えることを嬉しく思うよ。また楽しもうね』
そんな短い文章に私は首を傾げる。
近々って…どういうこと?
またなにか仕掛けてくるつもりだろうか。ノアールが何を企んでいるかが分からないまま私はそっと携帯を閉じる。
何があっても受けて立つわ
私は心にそう決めながら、眠りについた。
――――――――――
あれから数日、ノアールからのアクションも特に無いまま、中森さんの楽しみにしていた日になった。
「わー、嬉しい!ていうか大きい!!」
「はしゃぎすぎだよ青子」
大きな施設を前にはしゃぎっぱなしの中森さん。確かに大きい、スライダーや、大きなプールなど色んなものがある。そして、中に入ると中森さんは私の手を引く。
「着替え行こ!」
「うん」