第3章 【き】きっと終わってしまう恋だから
「誕生日プレゼント。なんでも買ってやるって言ったよな?」
「うん。えっと、取り敢えずもう夜遅いし、また今度非番の時でもいいかな?」
「今貰う。」
掴まれたままの右手を引き寄せられ、重なった唇。突然の出来事に頭の処理が追い付かない。
「何間抜け面してやがる。」
「…いや、ちょっと、理解が追い付かなくて。」
どうして私と勝己はキスをしたのか。
「って、ええ!?」
漸く今起きた出来事を処理出来、パニック状態。
「次の休みの日までに覚悟決めとけ。テメェの事、全部貰うからな。」
涼し気な顔で踵を返し歩いて行く勝己。勝己からのキスに加え、意味深な言葉に腰が抜け、その場に座り込んだ。
勝己への気持ちを自覚した時に終わってしまった恋だった筈なのに、どうやら私と勝己の関係は今から始まるらしい。そう思わずにはいられなかった。
fin.