第3章 【き】きっと終わってしまう恋だから
「勝己、もうすぐ誕生日じゃん。なんか欲しい物とか無いの?お姉さんがなんか買ってあげよっか?」
「テメェからの貢物なんかいるか!」
「まあまあ、そう言わずにさ。入学祝いも兼ねて、なんでも欲しい物買ってあげるから。」
物の一つや二つで勝己の気持ちが傾くなんてこれっぽっちも思ってない。自分がプレゼントした物を勝己が持ってくれてる。それだけで充分。今までだって、毎年プレゼントした物を文句を言いながら、捨てずに取ってくれてるのを知っている。
「…なんでもって、言ったな?」
「え?あ、うん。」
てっきり、いらないの一点張りかと思いきや、〝なんでも〟という言葉に食い付いた勝己。自分から言っときながら勝己がそれに食い付いてくるとは思わなくてビックリした。もしかして、とんでもなく高価な物強請られたりする…?
「次、休み何時だ。」
「勝己の誕生日。」
「駅前に六時。遅れんじゃねえぞ。」
「え?いや、学校に迎え行くよ!」
「来んな!」
確かに思春期のお年頃の時期に家族だとか自分の事を小さい頃から知るような人が学校に迎えに来たら恥ずかしいか。てか、勝己と二人で出掛けるのとか何年ぶりだろうか。勝己はただ欲しい物を買ってもらうだけ。デートじゃないって分かってるけど、やっぱり勝己と二人で出掛けられると思うと嬉しくて、ついつい顔が緩んでしまった。