第5章 ♡王子様のお姫様
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あの日以降も、
2人の関係で特に変わったことはなく、
相変わらず陽葵は
朝日から幸せな毎日をもらっていた。
ほんの少しだけど変わったことといえば、
朝日があの時の埋め合わせとして
さらに献身的な振る舞いをしてくれていることと、
......たまに、キスをせがまれるようになったことくらいだ。
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『...陽葵さん、ごめん、キスしたい...。』
「えっ......」
いつものように、ベッドで頭を撫でてもらっていると
朝日がしぼりだすように口を開いた。
『だめ、なら、我慢する...。
けど、できれば、したい...。
もちろん、キスより先はしないから』
「う......」
陽葵は頬を染め、少し目を泳がせたあと
ゆっくりこくんと頷く。
「キ、キスだけ...なら...」
『ありがとう...!』
朝日の顔がぱぁああと輝き、
そっと頬に手を添えられると
彼の美しい顔が近づいてくる。
ー最初は断っていたのだが、
あの日“ああなって”しまったのは
少なからず自分のせいでもあるし、
あそこまでさせておいて今後キスの1つもさせないというのは...さすがに男の立場になって考えると、厳しいものがあるだろう。
それに......
ちゅっちゅっ、くちゅ...
ちゅ、ちゅ...くちゃ、ちゅう...
「んっ...ん、......ん...」
『ちゅ...は、ぁ...陽葵さん...ちゅ、ちゅ
...また、そんな身体びくびくさせて...ちゅう...
もう...襲っちゃうよ...?...ちゅ、ちゅっ...』
「んん...んっ...ん...」
朝日から与えられるキスは
優しくて温かくて柔らかくて...
陽葵もいつのまにか、
無意識にそれを求めてしまうようになっていた。