第2章 すれ違い
翌朝。
隆の姿がなかった。
「帰ってないんだ…。大丈夫かな。」
少し心配になって、着信を確認すると留守電が入っていた。
「隆からだ。」
留守電を再生する。
~「名無し!ごめんな 。急遽飲みにいくことになった。おう!今いく!ごめん、呼ばれたから!先寝てろよ」~
後ろが騒がしかった。何かのパーティだろうか。隆は、女の人に呼ばれて電話を切った。
胸がざわつく。
「はー。」一気にテンションが落ちてしまって枕につっぷす。
2人きりではないといえども、きっときれいな女性が何人もいるパーティなんだろう。
隆二はものすごくもてる。年齢関係なく。
あの屈託のない笑顔とのギャップにやられたのは、私も同じ。
数時間後に彼が帰ってきて、朝帰りの理由を知ってしまい、私は落胆した。
昨日、仕事が終わったあとにタイミングよく、地元の仲間から飲み会の誘いが来たらしい。時間が合うことなんて滅多にないから隆二は二つ返事で会場に向かった。そこまでは、別に良いと思う。むしろ、久しぶりに飲めて良かったねって思う。
でも、私はこのあとの彼から聞いた言葉にショックを隠し切れなかった。
そこに元カノまでいたそうだ。
確かに居てもおかしくないと思う。幼馴染だし。しかも久しぶりでつい朝まで飲んでしまい、酔いつぶれた彼女をタクシーで送ったそうだ。本人は気づいてないけど、周りは2人きりにするために介抱を隆二へ頼んだのだと思う。
私のよくない想像は膨らんだ。