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【短編集】慟哭のファンタジア【HQ】【裏】

第13章 常闇の彼方にとらわれる(黒尾鉄郎)


「んんっ、んぅ」
自分でもびっくりするくらい、声が甘くなる。
圧迫感が、気持ちいい。
「、好きだ」
「…っ、はあっ、ほ、ほんとに?」
現実の先輩が、私一人に絞るなんて、あるはずないのに。
私はどこまで都合のいい夢を見ているのか。
「ああ、女に執着したのは、初めてだ」
「んん、ぁ、せんぱ、すき、すきです…!
ずっと、おいかけて…っ!」
「そうだな、よく、がんばった」
頭に回される手が優しい。
キスが、優しい。
本当に、私のご都合をよくわかっている夢だ。
「あっ…!
せんぱい、も、もう、いくっ、は…、だから、いっしょに、っ、いっしょにぃっ!」
言いかけて先に私は迎えてしまって、くすっと耳元で笑った先輩は、後からいつものように私のお腹に染みをつけていった。


起きる頃には、また身体は綺麗にされていて、私はのそのそと重い腰を上げた。
とてもいい夢を見たような気持ちで、身なりを整え終わった先輩を見上げる。
いつものように微笑むと、私の手を取ってベッドから下ろしてくれた。
「大丈夫か?」
「あっ、はい…」
いつもより気遣って聞いてくれて、夢の続きを見ているようだった。
「家まで送ってやるよ」
他の女の子にも、こんなことを聞いているんだろうか。
私は、もう一歩だけ、前進出来ているんだろうか。
そんな考えが、ぐるぐると回る。
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