第13章 常闇の彼方にとらわれる(黒尾鉄郎)
ラブホテル独特の客室は、相変わらずどこか息苦しい。
濃厚なバニラの香りのボディミルクが、情事の後を彷彿とさせる。
「、これ、あげる」
先輩から初めてプレゼントを貰った。
お風呂から出て、優しく髪を拭いてもらって、幸せの最中だった。
「え、わ…、嬉しいです……!」
あまりの幸せに死んでしまうのではないかとすら思えてしまう。
他の子にも、こういうことしてるのかな…。
ちょっと悔しくて、寂しい。
「開けてみろ」
「うん…」
袋を開けると、今までの嬉しさが複雑になっていく。
それは、真っ黒な男性のソレを模した玩具で、スイッチで動くようだった。
「なんですか、これ?」
わかりきったことを、頭が混乱してて聞いてしまった。
「見りゃわかるだろ?
がこの前寂しいって言ってたから、寂しくならないように」
「は、はぁ……」
それは精神的な話であって肉体的なモノではない、と突っ込みを素早く飲み込む。
「早速使ってみろ」
「え!!?せ、先輩、今、したばかり…」
私達は今しがた濃厚な一時を過ごし、身を清めたばかりだった。
今も思い出せる熱いカタチと奥を抉る感覚に、まだ腰が火照ってしまうほどだ。
「休憩から泊まりに延長すりゃ問題ないだろ。
今日は客もいなさそうだし」
「そ、そうじゃなくて…もう、疲れて…」
「一時間も休めば充分だろ?」
(……ダメだ、運動部のエースの体力だ!)
まだキャミソールとショーツしか身に付けていない私からタオルを剥がすと、ゆっくりとふかふかのベッドに押し倒される。
さっきまで、交わっていたそこに倒される背徳感に、一瞬ぞくりとする。
「………」