第6章 白昼夢幻想曲3(烏養繋心)
長らく夢を見ていた気がする。
昼間のまどろみの中て見るような気だるいような夢だ。
それは、どことなく、行為を終えたあとの倦怠感に似ている。
寂しい魔女は旋律を奏でると、迷い人を森に閉じ込める。
そんな童話を昔聞かされた気がする。
薄暗い部屋で目が覚める。
窓一つないそこは、見慣れた客室。
ベッドに沈む身体がなんとも重たい。
私自身が、戸惑うほどに恋い焦がれているその人は、冷蔵庫のミネラルウォーターを飲んでそのまま私に渡してきた。
ひんやりした水分が流れて、やっと喉の痛みや下腹部の違和感を感じ取れた。
それすらも私にとっては、大切な傷。
いつもの日常は、幸せであればあるほど、私は欲張りになっていく。
段々と、片想いが、苦しくなってくる。
でも、彼が、私の両親と同じくらい私自身に興味がないのはよくわかっている。
これ以上を求めても、私が傷つくだけ。
ましてや、拒否なんてされたら、そう思うと、更に一歩を踏み出せないでいた。