第37章 主よ甘き日々を終わりまで8(烏養繋心)
旅行中のあの独り占め出来る高揚感を引き摺ってなのか、帰ってきてからも今まで以上に可愛く見えてしまった。
ただ、あれ以来、は若干元気がないように思える。
ため息が多く、食欲もなさそうだ。
疲れているのか具合が悪いのか。
店でもたまにツラそうに作業をしているのを見掛け、そっと額に手を当て、熱くないか確認した。
問題はなさそうだが、顔が赤くなって可愛い。
照れているのかと思うとつい欲が出てしまう。
自身に落ち着けと冷静を装いながら、疲れてるなら寝てくれと促した。
そういえばここ数日連続でヤってしまっていて、流石にキツいかと反省した。
の答えは意外にも、
「えっと…行きます…」
だった。
恥ずかしそうに顔を伏せている姿が堪らない。
今日はどうやって距離を詰めようかと思うと、タバコの本数が若干増えてしまった。
結局いつだって終わってから後悔する。
気絶したようなスヤスヤという寝息を聞きながらシャワーで色々なものを流していく。
いい年してほんとに何やってるんだか。
飢えた獣みたいにガツガツと。
の手のひらを顔にあて、またいつかみたいに触れてくれる時の姿を想像した。
少し蕩けた表情で、名前を呼んでくれ、首に腕を回して体格差を埋めてくれる。
そんなことを想像するだけで枯れたはずの自身が上を向く。
手の甲に優しく口付けると身動ぎした気がした。
勘違いかもしれないが、照れているように感じて少し愉悦だ。