第30章 主よ甘き日々を終わりまで(烏養繋心)
小学生時代に両親が他界してしまい、親戚の家で暮らしていたけれど、それもとうとう限界が来てしまった。
追い出されてしまった私は、高校からは学校の近くのアパートでなんとか暮らしていたけれど…。
「なに…これ…」
多かった災害と土砂崩れ、老朽化……、私の居城は虚しくも崩れた。
保証人無しで借りられるところも限られていて、学生カバンに大切なものだけを持って泣く泣く野宿をするしかなかった。
バイト先の人に少し住まわせて貰えないか聞いてみたけれど、どこも難しく……。
「ど……どうしよう……」
そろそろこの地は寒くなる。
冬は雪が降る日もある。
さすがに公園や暖房器具のないところの生活は厳しくなってきた。
そんなときに声をかけてくれたのが、学校の近くのお店のヒトだった。
「住み込みバイト、するか?」
今のバイトも掛け持ちしていいとのことだったので、頭を下げてお願いした。
おうちの方も歓迎してくれて、温かいご飯とお風呂が用意されていることに感動して泣いてしまった。
落ち着いてからぽつぽつと彼の話をいろいろ聞いた、気がする…。
眠くて、あまり、覚えていなかった。
ただすごく幸せで、久しぶりに安心できて…。