第28章 姫君の憂鬱4(菅原孝支)
もう程なくして深夜になる、という時間に、やっとさんを家に送れた。
荷物を持って帰ろうとしたが、さっきの感情は引き摺ったままだ。
「す、菅原くん」
「さん…しばらく、会わないでおこう」
「…なんで…?
さっきの、気にしてないよ…!」
「…そうじゃなくて、学校さぼったから、二人で。
しばらくは一緒にいない方がいい」
「…私…、菅原くんいないと…」
きゅっと袖を握るのが見えた。
いつも寂しい時にする癖。
それをまた、見て見ぬふりをする。
だって、そうでもしないと、彼女を傷つけてしまいそうだったから。
抑えられない溢れる物を、ぐっと飲み込む。
どうしたらいいかわからない。
きっと、次会うまでには、なくして見せる。
だって、彼女の苦しみは、俺の苦しみ。
絶対にツラい顔を、自分がさせてはいけない。
それは、最早、使命感。