第3章 ジャンヌダルク2(及川徹)
チビで童顔でつるぺた。
それが彼女の三大代名詞だ。
2つ年下の後輩は、超敏腕のマネージャーと言っても過言ではない。
部活の時の姿は、さながら、ジャンヌダルク。とはよく言ったものだ。
真面目が動いて喋っているようなは俺とは正反対で、正直こういう女の子と付き合うのも初めてだから、いつも戸惑いだらけである。
「及川先輩、浮気が全て間違っているとは、私は思いません。
婚姻関係を結んでいない限りは、私達はお互い自由の身であると、法律にも触れないと、思います」
「おー!、意外と理解あるじゃん!」
「ですが、性行為が間に入るというのでたれば、この話は大きく変わります!
性病感染リスクを考え、多数の女性とそういう関係であるのであれば、私に一切、触れないでください!」
こうして俺はやむ無く他の女の子と縁を切った。
連日、殴られぶたれ、ひっかかれ、傷の絶えない日々となった。
「別れたよ」
「…お早い決断で」
「だから、触らせて」
ぱーん、と綺麗な平手打ちがキメられた。
百歩譲って、それを押し倒しながら言った俺が悪いとは思う。
それにつけても本命彼氏にそんなことをするのは、納得がいかないのだが。
「ちゃん……痛い……」
「じゅ、順序というものがあります!」
「ないよ」
「は!!?」
「そんなの、他人が勝手に決めたルールだろう」
「なっ、なな……」
「セックスから始まる恋愛だってある」
俺は今日、2発のビンタを食らった。
それも往復で。