第23章 蜂蜜レモネード6(影山vs及川)
あまりの驚きに声すら出ない。
錯乱してて、徹さんの他に人がいたなんて思いもしなかった。
心臓が痛い。
見られた。
見られた。見られた。
どうしよう?どうしよう?どうしよう?
触った優しい手つきもきっと。
「いやぁぁああっ!!!!」
「…っ」
「見ないで見ないで見ないで…!!!」
手を動かしたくても机がガタガタと、独特の空洞音を鳴らす。
「だめっ!!お願い、見ないで!!!みないでよぉぉ!!!」
「…さん……」
「ああああああああ!!!!」
「気持ち悪いよねトビオちゃんだってこんな…姿なの、最高に、醜くて」
早口でまくしたてて、徹さんの笑い声が室内に響く。
きっと、影山くんも、そう言うに違いないって。
止まらない涙がどんどん出て来て、目隠しの布がしっとりと顔を濡らしていく。
「ぁぁぁぁあっ!!やだぁぁ…っ!!!」
子供みたいに大声で泣く。
今どこにいるかすらわからないのに、窓から飛び降りたい気持ちでいっぱいだった。
それなのに、影山くんは、後ろから私を抱き締めてくれる。
あまりのことに吃驚しすぎて、声が出なかった。