第22章 食堂車でディナーを(赤葦京治)
遠征での帰りの電車は、さんと途中まで同じだった。
いつもはしっかりと結ばれた髪も、部活でないとなれば、綺麗にほどかれ、下ろされている。
雰囲気があまりにも違うさんに、どきっとする。
とある大きめな駅に止まり、人がどっと押し寄せる。
いつも憧れていたその先輩の、柔らかな、胸。
「ごめんね?」
他の人に押し込まれ、ぎゅっとさらに身体が密着する。
「他の線で人身でもあったのかな?」
「こんな混むの、珍しいですね…」
さんは細い身体を、ドアと衝立の近くに上手く滑り込ませ、少しだけ俺にもスペースを作ってくれる。
が、その状況が、更に彼女を追い込んでいる。
背の低いその人が、その状況で見上げてくる。
しかも、蒸し暑さのせいで、汗を吸収した制服が透けて。
可愛らしいピンクの下着が上からバッチリ見える。
手にあたる太股の素肌が、尚更気持ちをざわざわと波立てていく。
「す、すいません…!」
「こんな状況だもん、気にしないで」
少し恥ずかしそうにはにかんで、困ったような笑顔を向けられる。