第21章 蜂蜜レモネード5(影山vs及川)
あまりにも上手い口淫、馴れですぐ反応する身体、何より一目惚れしたその容姿、全てに夢中だった。
「あ、あん、ん…っ」
悪いことだと小さい頃に何も教わらないと、こんなにも無防備で無警戒で、恥じらいも僅かばかりの、純真無垢と不純を併せ持った怪物が出来るのだと知らなかった。
その歪な形の、不完全なキメラに、貪りついた。
「うう、あっ…!」
まだ互いに未熟な肉体を繋げ、持て余した体力の全てを費やす。
ザラっとしたナカがぎゅうぎゅうと締め付ける。
彼女の急所を音がしそうなほど抉ると、甲高い声が上がる。
「あぁぁ!!いく、いくぅ…っ!いっちゃ…っんんぅ…!!!」
一緒に抱き締めあって果てる時、彼女は必ず濃厚なキスをせがむ。
舌を絡ませると、気持ち良さそうにナカがまた反応する。
まるで愛し合っているかのようなのに、彼女にとっては、それは、朝起きて歯を磨くような、そんな生活の一部に過ぎない。
『近頃の子供を狙った性犯罪は……』
「この先生、いつも来る…。
腕を縛るのが好きなの。
私の腕を縛って、たくさん悪口を言って、気持ち良さそうにするの」
「…言ってることとやってること違うんじゃん」
とテレビを観ると、いつもそんなことを言う。
彼女は、色んな大人の男を、軽蔑しきった目で見ていた。
それがなんだか、切なく思えた。
「あ、この人……」
「こんなヤツも来たの?」
「……一回だけ。
顔を殴るから…、あの人がそれ以来相手しなくていいって。
さすがに商品が汚ければ、誰も買わないでしょう?」
自分のことを商品ときちんと理解し、淡々とそういう話をしてきた。
興味本位だったのが、段々と、同情になっていく。
「『せいり』が来たから、いらないって……。
女の人って、そういうものなの?」
「違うよ」
あまりにも色んなことを背負った、折れそうな身体を抱き締める。
「俺がを使うから、ずっとここにいてよ」
「………ありがとう」
これが最初に交わした、彼女との取引だった。