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【短編集】慟哭のファンタジア【HQ】【裏】

第20章 蜂蜜レモネード4(影山vs及川)


「これからどうすんですか?」
「なんにも考えてなかったんだ。
兎に角、影山くんに会わなきゃって。
それだけ」
「……」
「じゃあ、おうちの人が起きないうちに、お風呂借りて出ていくね」
さんは、落ちたタオルを広いながら、寂しそうに言う。
明るい部屋で見た彼女の身体には、痛々しい痣がいくつかあった。
及川さんの、名残。
「さん……、もう、逃げてください……」

「私には、私の仕事があるから」

その言葉の意味はすぐにわかる。
仕事。
それをして、何になるのだろうか。
「なんで?って、思うよね。
でも、私、徹さんとのこと、清算しなきゃいけないから」
「……それが、仕事」
「そう。取引をしてるの。
会えてよかった。
次会えたら、また、好きって言って?」
「………」
頷くしか出来なかった。
さんの抱えていることが、あまりにも大きくて。
果たして、俺は、彼女を助けることが出来るのか。
あまりの無力さに、ただ、手を見ることしか出来ない。
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