第16章 蜂蜜レモネード(影山飛雄)
俺の首に腕を回すと、後ろに倒れこむ。
意図せず繋がったまま、俺が襲っているような体勢に変えられてしまった。
自分の下にいるさんに、今までなかったはずの征服欲がめらめらと燃えていく。
本能の赴くままにグイグイとおしつけ、さんの顔が歪むのを眺めた。
「あ、あっ、あぁっ!!はぁっ…!
やあぁあっ…!また、きちゃ、きちゃうぅ…!」
「さん…っ!」
痙攣して搾るように絞まるのが伝わってくる。
抗えないその肉欲に侵略され、呆気なく膣内を満たす自分のモノが、割れ目からたらたらと溢れてきた。
「ん、ふぁ…」
余韻に浸っている彼女にまた覆い被さると、慣れていない唇を思うが儘に塞ぎ、舌を絡めた。
「あぅ、はぁ…ん、も、あん…、おかしく、なっちゃ、からぁ……」
「…っ、さん、好きです…」
「…っ!」
何故かさんが悲しそうな、寂しそうな顔をした。
それは、後ろにいた、兄、いや、王の存在のせいかもしれない。
「及川さん………」
「トビオちゃん、やーらしー」
録画機器を片手に、彼は嬉しそうに笑った。
「さぁ、お前はどんな手駒になってくれるんだ?」
「ごめんね、影山くん………」
さんの泣きそうな顔が忘れられない。
頭に焼き付いて、熱く、切なくさせる。
やっと部の本質がわかったのに、俺は何も出来なくなった。
彼女を救うことも、叶わない。
それは、彼女こそが、甘い罠だったのだから。