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繫がる物語

第9章 第八話


「ここは…?」
 見たことのない場所だ。少なくとも、煌ではない。
「おや、目が覚めましたか」
 すると、一人の男がエルアの視界に入ってきた。
 その男は、バルバッドのとき、エルアを助けた男だった。
「あなたは、あの時の…」
「私はジャーファル。政務官をしています。あなたは?」
「エルアです。…えと、それで、ここはどこですか?」
 あの身のこなしで政務官かぁ〜、と驚きつつ、エルアは尋ねる。

「ここは、我が国シンドリアに向かう船です。あの後、勝手ながら煌帝国の者にエルアさんを返すのは良くないだろう、という判断をして、一緒に連れてきたんです。
組織の人間がどこに潜んでいるか分からない、ましてや皇族のいない船にあなたを乗せるのは忍びない、と、我らの主、シンがそう決められたんです」

「そうですか…」
「到着して少し経ったら、シンが交渉で煌に行く予定なので、よろしければそれで帰れば、とも言ってました」


「うーん、いや、いいです」
 それを聞いたジャーファルは目を丸くする。
「私、本当は煌帝国の人間じゃないんです。たまたまジュダルに拾われて、煌帝国にいただけで…」


 毎度ながら、死神って単語が皆に通じたら、こんな苦労しないのにな〜、とエルアは思った。


「詳しいことは、本国で聞かせて頂けますか?もうしばらくしたら、着くと思います。
それと、体調が良ければ外に出て見ませんか?とても気持ちいいですよ。なんせ、シンドリアの海は世界一ですからね」
「うわぁ、本当ですか?是非見たいです!」
 キラキラ目を輝かせるエルアに、ジャーファルは柔和な笑みを浮かべつつ船内を案内した。

「こっちですよ」

 キィ、と木製の扉を開くと海風が吹き抜け、美しい海が見えた。

「わぁ…!」
「フフ…どうです?」
「凄く綺麗…!こんな海、初めて見ました…!」
「それはよかった」


「あ、ジャーファルお兄さん!それに、エルアお姉さんじゃないか!目が覚めたんだね!」
 甲板に降りると、アラジンと赤髪の女の子と金髪の男の子がやって来た。

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