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繫がる物語

第9章 第八話


「そーれーにー!アンタ、生まれてこのかた、カレシできたことないし〜!丁度いいんじゃないかって思ったりしてねー♪」
「う、うううるさいぃ!だって私、そーゆーのの縁、これっぽっちもないんだもん…」
 うー、と唸りつつエルアはそこらに水が流れてるにも構わずゴロゴロ転がり出した。

 因みに、水のバシャバシャという音や感覚はあるが、精神世界なんかの特有のご都合主義←で、服などは一切濡れていない。

 で、エルア、百合神楽の言う通り、年齢=彼氏いない歴だったりする。
 死神というおっそろしく長い年月を過ごしているというのにぃ〜、と百合神楽は嘆き混じりな演技口調で言う。

(ま、コイツが素晴らしい程のフラグクラッシャーとかいうやつだからってのもあるけどね。てか、全部それ)

 なんだってんでウチの主はこーなったのかね、と百合神楽は心の中で溜息をつく。


 というのも、エルア、自身が天然なところがあるのに加えて、そういうのに自分は向いていない、縁がないと思い込んでいるため、相手の好意や、ヘタすればアタックまでも気づかずいってしまい、恋愛フラグを壊す、ということがしょっちゅうなのだ。
 あの市丸ギンですらダメらしく、いつの日か、彼の斬魄刀の神槍に『主が、エルアちゃんに今日も気づいてもらえへんかった…、と言ってここのところ毎日凹んでいる』と聞いたことがあるくらいだった。


(ホントは割とキテると思うんだけどねぇ~…)

 案外好意を持っている人はいるかもよ、と言ってやろうかなとも思うが、どちらにせよ人は主が決めるんだし、このまま放っておいた方が面白いだろう、ということで百合神楽は黙っていることにしたが。

「ま、そのうちできるでしょ〜!こっちの世界にもいい男いそうだし♪ホラ、そろそろ時間よ」
「かなぁ〜…」
 自信無さげに笑うエルアの肩に手を置いて百合神楽は言った。
「また遊びにいらっしゃい!なんにせよ、アタシはアンタ。いつでも力貸すから!…恋愛とかはムリだけど」
「分かってませうー!んじゃまたね、百合神楽!」
「良いコトあるといいわね♪」



 途端、視界がぼやけ、次にはっきり見えたのは木の板で造られた天井だった。


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