第4章 天泣
正直、最初は戸惑った。
だって、ニノとはずっと友だちで。
誰よりも近い、友だちで…
そんな目で見た事なんて、なかった。
そう考えて、ハッとした。
これって…
きっと、翔ちゃんが俺に対する気持ちと、同じだ…
『…行き場をなくした恋ってさ…どこへいっちゃうんだろうね…』
どこにも、行かせない。
俺が、ちゃんと受け止めてやる。
それからは、ずっとニノのこと、見てた。
人懐っこくて、懐に入るのが上手くて。
誰とでも仲良くなれるくせに、どっか薄いベールを掛けたみたいに、心の奥底までは誰にも立ち入らせない。
大胆で、でも臆病で。
天の邪鬼なんだけど、時々びっくりするくらい素直で。
頭の回転がすっごく早くて。
繊細で。
笑った顔は、ワンコみたいにすっごく可愛い…
今まで知ってたはずのそれらが、また違った新鮮さで俺の中に入ってきて。
自然に、心を奪われていった。
そう
気が付いたら俺、翔ちゃんよりニノのことが好きになってた
告白したら、
『嘘だろ?翔ちゃんじゃなくていいの?』
『ヤダよ~、お前なんか。』
なんて、最初はのらりくらりと交わされたけど。
でも、俺のこと好きなのわかってたし!
絶対、うんって言わせてやるって半ば意地になってさ…
ぽたり、と握り締めた拳の上に、雫が落ちた。
俺…バカだ…
なんでこんな大切な気持ち、忘れてたんだろう…
『俺…雅紀が、好きだよ…』
「…っく…おれ、も…ニノが好き…」
後から後から流れ落ちる涙を拭い、携帯を手に取る。
画面をタップして、耳に当てると、数回のコール音の後、繋がった。
『雅紀?どうした?』
「…今から、会えない?」
『え?なんだよ、急に』
「…会いたい…」
『…わかった。こっち、来る?』
「…うん…」
『…待ってる』