第4章 天泣
【雅紀】
『そんなに好きならさ、気持ち伝えたら?』
あの日、ニノはそう言った。
『ええ~っ、無理だよっ!だって、翔ちゃんが俺のことメンバー以上に思ってないの、わかってるし!』
『でもさ、スタートラインに立たなきゃ、なんも始まんないじゃん』
『そうだけど…』
『伝えなきゃ…その想いは行き場をなくすよ?』
『…ニノ…?』
『…行き場をなくした恋ってさ…どこへいっちゃうんだろうね…』
不意に表情を消して、ぽつりと呟いたニノの横顔が、ヒドく寂しげに見えて。
『な~んちゃって!あははっ…柄にもないこと言っちゃった』
思わず伸ばしかけた手が触れる前に、ニノは笑って俺に背を向けた。
『とにかく!当たってみたら、なにか変わるかもよ?まぁ、砕け散る確率99%だけどな!』
一瞬垣間見せた寂しげな表情をキレイに消し去って、笑っていたけど。
俺の頭には、その時のニノの表情がこびりついていて。
もしかして…
ニノも、なんかツライ片思いでもしてんのかな…?
それだったら、俺だって力になってやりたい。
いつだって、俺を支えてくれたのはニノだったから…
それから、注意深くニノを見るようになった。
そうすると、しょっちゅう視線が合うことがわかった。
それはつまり…
ニノがしょっちゅう俺を見ているって事で…
しかも、目が合うと必ず気まずそうに向こうから逸らして…
これってさ…
もしかして…
俺でも、わかった
もしかして…
俺のこと、好きなの…?