第4章 天泣
【雅紀】
「あっ…翔、ちゃんっ…もっとぉ…」
「雅紀っ…やべぇっ…」
「あんっ…やだ…もっとちょうだいっ…」
「あんま、締めんなって…!」
翔ちゃんの熱に浮かされて。
なにも、考えられなくなる。
俺のナカ、翔ちゃんでいっぱいになって、翔ちゃんの事だけになって…
俺を包む圧倒的な快感の波に、身も心も押し流されて。
俺、は…
「あぁ…も、イッちゃうっ…」
どこへ、流れていくんだろう…
「帰んの?」
気怠い体を起こし、ベッドの下に脱ぎ捨てた服を拾ってると、翔ちゃんが不機嫌そうな声で訊ねてきた。
「うん…ニノ、待ってるから…」
嘘…
今日は、連絡なんか取ってない。
あいつがどうしてんのかも、知らない。
でも、そうでも言わないと、この場所から動けない気がして…
ノロノロと服を身に着けた。
「…本当は、帰りたくないんじゃないの?」
翔ちゃんが、見透かしたように呟く。
「そんなわけ、ないじゃん…」
俺は、無理やり笑顔を貼り付けて、振り向いた。
「じゃあ、またね」
「待てよっ…」
立ち去ろうとしたのに、腕を掴まれて。
素早く腕の中に囲われてしまった。
「なぁ…ニノと別れろよ」
この間から、翔ちゃんはそんなことを言う。
「…無理だよ…」
「なんで?」
「だって…俺、ニノの恋人だし…」
「そんなの…雅紀は、俺とニノ、どっちが好きなの?」
「それ、は…」
ニノだよ
…なんで、そう言えないんだろう…
「…帰るなよ…」
「…やだ、無理…」
「雅紀…」
翔ちゃんの優しい声が、じわりじわりと俺の体を支配していく。
「…翔、ちゃん…」
足元が揺れている。
もう、立っていられないほどに