第4章 天泣
【和也】
もう、いっぱいいっぱいだったんだ。
誰にも話せなくて、相談なんかできるはずもない。
苦しくて、考えないようにしてても、どうしても頭の中、雅紀の事でぐるぐるしてしまう…
大野さんに優しくされて、
力強く抱き締められて、
不覚にも涙が零れてしまった。
一度堰を切ったら、もう止めることが出来なくなって…
「俺でよかったら…話してよ…解決できるかどうかは自信ないけど…聞くことならできるから…」
……何でそんなこと言うんだよ…
いつもの大野さんらしくないじゃん…
そんな気の利いた事…いつもは言ってくれないくせにさ…
そう言って笑いたいのに、喉が詰まって声が出ない…
替わりに、涙が次から次へと溢れだしテーブルに落ちた。
「ニノ~…泣くなよ…そんなに泣くと…俺まで、泣きたくなっちゃう…じゃんか…」
…大野さん……
俺を抱く腕が、震えている…
なんだよ…自分だって泣いてんじゃん。
カメラの前でさえ、笑えない者同士…
アイドル失格だよな、全く…
俺たちはそのまま、暫く抱き合って泣いた。
幸い、追加の注文も来てしまっていたから、店員も顔を出さず。
気が済むまで、二人で泣いた…
………
……
「目が腫れるよ…これじゃ、明日…」
「俺、休みだから、いい…けど…」
「なんだよ~!また休みかよ~、俺収録あるのにさ~」
「悪りいね~…」
お互いの顔を見たら、もう酷い顔で…
あんまり酷くて、
なんか笑っちゃった…
「この顔で、『ニノさん』いける?」
「いけない…」
「ど~しよ~///」
俺たちは、笑った…声を上げて。
さっき泣いたカラスが…
って感じで…涙でぐちゃぐちゃの顔で、
笑った。
抱き合って泣いてた自分たちが可笑しくて。
今度は声を上げて、暫く笑い続けた。