第3章 洒涙雨
「大丈夫かよ?松潤…全く…しょうがね~な~」
「健くん、ホント、申し訳ない!」
少し歩いたせいで、余計に酔いが回ったみたいだ。
「無茶な飲み方するなって思ってたんだよ…全く…お前らしくない…」
トイレまで抱えてくれた健くんは、俺が用を足すのを横で見ていた…
「…健くん!俺、このまま帰りま~す…すみません…みんなに、言っといてください…」
「俺、送ってくよ…つ~か、俺ん家、こっから車で5分だから、今日は泊まってけよ…心配で一人で帰せないよ、こんな松潤…」
「健くん家?…え~、健くんの奥さんに悪いなぁ~…」
「何言ってんだ、お前…ほら行くぞ…」
………
……
そこで記憶が無くなった。
朦朧としたままゆっくり目を開けると、そこには見たこともない天井…
……?ここ…どこだ?
………俺、夢見てんのかな~?
「…智~??どこぉ~」
「智??智って、大野のこと?普段はそう呼んでるんだ…」
その声に、はっとして声のする方へ顔を向けると、
そこには、真っ白いバスローブ姿の健くんがいた。
「…健…くん?」
「大丈夫かよ?松潤」
俺…いったいどうしたんだっけ?
身体を起こそうとして、始めて気が付いた。
「えっ??なんで、俺…」
見慣れない天井のここは、恐らく健くんのマンションで…
その、寝室らしき部屋の大きなベッドの上…
そんなところで、俺は全裸だった。
「あの…俺…いったい…」
戸惑う俺に、ゆっくりと近付きながら、健くんは、
「お前が脱がして、ってそう言ったんだぜ?
苦しいから、全部…って…」
「…あ…そうなんですね…すみま…」
「あのさ、松潤…男、経験あり…だよね?」
「えっ…?」
健くんは俺のすぐ側まで来て笑った。
いつもの可愛らしい笑顔じゃなくて…それは、見たこともない彼の、妖艶な表情だった。