第3章 洒涙雨
「ねえ…松潤…今夜はさ…俺を…試してみろよ…」
「…健くん……」
「酔っていて、お互いよく覚えていない…それならいいでしょ?」
そう言いながら、健くんはゆっくりとバスローブの紐を解いた。
「でも…」
「夢の中だった、そう思えば…どうってことないじゃん…俺も…松潤も、夢を見てたんだ…でしょ?」
健くんは、少しだけ微笑んだ瞳の奥に、欲情の赤い火を揺らせながら、肩からローブを落とし、一糸まとわぬ姿になった。
……綺麗だ…
智よりも少し筋肉質で…
無駄なものがない…少年みたいな、綺麗な身体…
「…じゅん…」
「………」
魔法にかかったみたいに、身体が動かない…
健くんの唇がゆっくりと…スローモーションみたいに俺に近付いて来て…
あと2㎝ってところで止まり、じっと俺を見つめていた綺麗な目を、そっと閉じた。
俺は、彼の頭を引き寄せて、少し乱暴にその赤を奪った。
そこは思っていたよりも熱くて、魅惑的だった。
……
…………
……
酔った勢い?
そんな言い訳、通用しない事、知らない訳じゃない…
こんな誘惑…
今まで何度となくかわしてもきた…
なのに…
それなのに、俺は…
その行為に慣れた健くんは、俺に突かれて跳ねる。
その中は、きつくて…
火傷しそうなほど熱くて、魅惑的で…
憚ることもしない健くん艶めかしい声に煽られるように、俺は夢中で彼の魅惑的な身体を貪った。
「じゅん…凄い…イイよ…気持ちイイ…俺、イキそっ…」
「あぁぁ…健くん…俺ももう、無理です…」
「一緒に…一緒にイッちゃう~?」
「……健くん…」
『夢だって、そう思えばいい』
……
夢なんかじゃない…
俺は、彼を…
健くんを抱いた…
抱いたんだ……
その間……
健くんの身体を貪るように抱いている、その時…
俺は、智のこと…忘れていられた…
ワスレテ…イラレタ……