第3章 洒涙雨
「お疲れぇ~…」
個室に案内されて入っていくと、見知った顔が数名、俺を迎えてくれた。
「お~!潤、早かったね?他のみんなは??」
斗真に言われ、俺はそれをしれっと無視して奥のテーブルに向かった。
そこには錦戸と小山、健くんと風磨がいた。
「松潤、こっち座れよ~…忙しい嵐が、こんな時間に合流できるの珍しいじゃん!」
健くんはそう言って俺に肩を組んできた。
「忙しいって、毎日そんなに遅くまで忙しいなんてこともないし…」
そう言いながら、生ビールを頼むと、風磨が、
「兄貴は?来れなかったんですね~?仕事ですか?」
…こいつの言う兄貴って翔くんのことだ。終わった頃に電話で呼び出そうとしても面倒なので、
「翔くんはデートじゃないかな?この後飯行く予定があるって言ってたから…」
「そうなんっすね~…残念…」
「嵐もそういう人の一人や二人いるよな~…上手くやってるんですね~」
小山も翔くんが来ないことが残念みたいだ…
「いいよ!松潤が嵐代表で飲んでくれれば!ほら、乾杯しようぜ~♪」
健くんの仕切りで、俺たちは飲み始めた。
時間が経つにつれ、事務所のいろんな人間が入り乱れて、結構な大人数に膨れ上がっていた。
俺の周りも、どうでもいい話で盛り上がり、最初からピッチもあげて飲んでいた俺は、あっという間に酔っぱらった。
「ちょっ、俺、トイレ~」
立ち上がるとふら付いて、危うく転びそうになった。
「大丈夫かよ?松潤…俺が一緒にトイレに行ってやるって!」
「すんません!!健くん…」
…ヤバい、思ったよりも酔っぱらったみたいだ…
夕べもあんまり眠れなかったせいもあるんだろう…
今日は、早めに帰って、このまま寝ちゃおうかな?
…今なら、何も考えないで眠れそう…だし…