第3章 洒涙雨
話に夢中な大野さんと相葉くん……
それを、少し離れたところから翔くんが見ている。
翔くんも、にのあいのことが気になってるのかもしれないけどね。
大野さんは、翔くんを特別な目で見ている。
好きとか、そういうんじゃないことは知ってる。
でも、デビューしたときから、翔くんには一目置いてて、すごく信頼しているんだ。
それは今も変わらなくて。
俺たち3人と、翔くんとは全然違う…
リーダーは大野さんだけど、影となって、時には前に出て、嵐を牽引しているのは翔くんだから…
それは俺も認めているし、俺が彼の役割を変われるのか?といったら、それは無理だし…
だけど…
リスペクトは愛に変わりうること、俺は知っているから。
考えすぎで、ネガティブ過ぎるのかもしてないけど。
実際、俺がそうなんだ。
同じグループとしてデビューしたばかりの頃、大野さんは俺にとって雲の上の存在だった。
だから、普通に話すときも凄く緊張したのを覚えている。
歌にコンプレックスを持っていた俺にとって、どんな歌でもサラッと歌い上げてしまう大野智…
ダンスも…
レッスン場で、彼が踊り出すと、ジュニアのみんなは息を飲むんだ…
カッコいい…
俺にとって、大野さんは憧れの人だった。
そんな彼と付き合えただけでも奇跡なのに…
それだけで、幸せすぎるはずなのに…
自分の強欲さに、自嘲を感じる。
でも。
そんな大野さんだから…腕の中に抱き締めていても…
俺のことを激しく求める彼を知っていても…
心配なんだよ。
どうしてなのか、上手く説明なんかできないけど。
許されるならば、
自分の部屋に閉じ込めておきたいくらいなんだ。
もう病気だって言われれば、そうかもしれない…
俺は、相葉くんと仲良さ気に話す大野さんを、ぼんやりと見ていた。